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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻8号

2001年08月発行

文献概要

特集 閉塞性黄疸の診療手順 病態からみた診療手順

閉塞性黄疸を伴う肝門部胆管癌の診療手順

著者: 新井利幸1 梛野正人1 神谷順一1 上坂克彦1 湯浅典博1 小田高司1 二村雄次1

所属機関: 1名古屋大学大学院器官調節外科学

ページ範囲:P.1059 - P.1065

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 閉塞性黄疸を伴う肝門部胆管癌では区域胆管枝が肝門部で分断されていることが多いため,PTBDによる胆道ドレナージを第一選択とすべきである.複数のPTBDを行うことにより各肝区域の胆汁排泄能の改善,区域性胆管炎の予防と治療,さらに,PTBDカテーテルから選択的胆管造影や経皮経肝胆道鏡検査を行えば癌の胆管壁内の進展度診断が可能になる.胆管壁外への進展度診断にはCT,動脈造影,経皮経肝門脈造影が必要である.広範囲肝切除が予定された場合には経皮経肝門脈枝塞栓術を行う.外瘻胆汁は全量を経管的に腸管内へ戻し,肝再生の促進,栄養状態の改善,bacterial translocationの予防に努める.根治切除には尾状葉切除を伴う肝区域切除を行う.術後は経腸栄養の早期開始,カラードップラーによる肝血流動態のチェックが必要である.
 閉塞性黄疸で発症することの多い肝門部胆管癌症例では十分な減黄を行っても胆汁排泄能や免疫能は完全には回復しない.また,根治切除には広範囲肝切除が必要となる場合が多いことから,術後の感染性合併症・肝不全の発生が少なくない.しかしながら,良好なQOLと長期予後をもたらすのは唯一根治切除であることから,きめ細かい術前・術後管理に基づいて,積極的に切除を行うことが重要である.本稿では筆者らの行っている閉塞性黄疸を伴う肝門部胆管癌の診療手順を,その理論的根拠を示しつつ具体的に解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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