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特集 癌診療に役立つ最新データ Ⅱ.甲状腺癌
甲状腺癌の疫学に関する最新のデータ
著者: 岩崎博幸1
所属機関: 1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター総合外科
ページ範囲:P.30 - P.34
文献購入ページに移動 甲状腺癌の発生数は健康診断,集団検診などの頻度,病院での初診や手術例の頻度,剖検例での頻度によってばらつきがあるが,剖検例で10%前後,集団検診で0.4〜0.88%である.組織型別の頻度では乳頭癌が90.6%,濾胞癌が6.9%,髄様癌が1.4%,未分化癌が0.9%である.分化癌ではT2N0が多く,未分化癌ではT3N1が多い.初発症状別頻度では頸部腫瘤などの症状が認められることは1/3程度である.年間の甲状腺癌罹患数は1999年で6,827人,男女比は1:3.91で女性に多く,年間死亡数は1,300人であった.家族性甲状腺癌はMEN-Ⅱに代表される甲状腺髄様癌がよく研究されている.家族性甲状腺髄様癌はほとんど全例に遺伝子変異を認め,散発性の甲状腺髄様癌では約1/5の症例に変異を認める.甲状腺癌の予後は一般的には顕性癌となる前のラテント癌や微小癌がよいのは当然であるが,進行癌でも未分化癌以外は担癌状態でかなりの生存期間が見込まれる.
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