文献詳細
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Ⅶ.肝癌
文献概要
肝細胞癌(HCC)に対しては,肝切除,肝移植,局所療法,TACEなどのさまざまな治療が行われており,randomized controlled trial(RCT)が存在しないことから,治療法間の正確な比較は困難である.本邦では従来の各療法の治療成績に基づき,肝機能良好かつ切除可能例には外科切除が標準治療となっており,その他の症例には局所療法が選ばれる傾向にあるが,高頻度に認められる異時多中心性再発の問題がクリアーされていない.一方,欧米では,HCCに対する肝移植の適応,手術の安全性がほぼ確立され,癌,肝硬変両者の根治治療として移植治療の占める位置が大きくなっている.今後わが国でも,生体部分肝移植の活用により,多発症例や再発症例を中心に移植治療の適応が広がっていくことが予想される.局所療法では,ラジオ波焼灼療法(RFA)がエタノール注入療法(PEI)に代わり普及しており,長期成績の評価およびRCTに基づく他療法との比較が今後求められる.
肝内胆管癌(ICC)の治療成績は,唯一の根治治療である外科切除においても満足できるものとはいえず,早期発見へのストラテジーの確立が急務である.
肝内胆管癌(ICC)の治療成績は,唯一の根治治療である外科切除においても満足できるものとはいえず,早期発見へのストラテジーの確立が急務である.
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