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文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻12号

2002年11月発行

文献概要

特集 肛門疾患手術のup to date

自動縫合器を用いた痔核手術(PPH)

著者: 辻仲康伸1 浜畑幸弘1 松尾恵五1

所属機関: 1東葛辻仲病院

ページ範囲:P.1481 - P.1487

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 痔核脱出症状の成因から肛門クッションの滑脱説を根拠としてLongo法(PPH)が誕生した.PPHはエチコン社HCS33®自動縫合器を用いた下部直腸環状切除術であり,肛門クッションが吊り上げ固定されることで痔核症状が消失する.PPHは術後疼痛が有意に小さく,早く回復する利点がある.臨床的に頻度が高いⅢ度の内外痔核13.3%およびⅢ度内痔核の38%がPPHの対象であった.外痔核の著明な症例ではPPH単独で治療し得ず,同時的切除を行えば従来法と同等な術後経過となる.
 手技のうえでは肛門拡張器の無理な挿入を避け,タバコ縫合をていねいに行うことが重要であるが,一定の手技にもかかわらず粘膜切除の幅や歯状線からの吻合部の距離は一定ではなく,臨床成績も異なる可能性がある.術後早期の出血率は3%であり,直腸腟瘻などの合併症も考慮すると,十分に熟達した術者が症例を選んで行うことが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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