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特集 胃癌治療ガイドラインの検証
文献概要
幽門側胃切除では迷走神経を温存することで術後下痢の発生を有意に予防でき,BMIからみた体重減少を有意に抑えることができた.しかし,食事摂取,就労状況,気持といった患者の満足度の面からはQOLが有意に向上したとは言えなかった.術後胆石症の発生は単に神経を残すだけでは予防できない.神経温存幽門保存胃切除症例に胆石の発生を認めなかったことから,術後胆石予防には迷走神経肝枝・腹腔枝に加えて幽門枝や幽門輪の機能温存がかかわっていると考えられた.QOLの向上が明確にされるまでは適応はD1+αでよい症例に限るべきであろう.
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