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文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻3号

2002年03月発行

特集 乳癌:初回治療の標準化

腋窩リンパ節多数転移例における最適な郭清

著者: 田口哲也1 野口眞三郎1

所属機関: 1大阪大学医学部腫瘍外科

ページ範囲:P.331 - P.334

文献概要

 腋窩リンパ節および胸骨傍リンパ節郭清の生命予後に対する寄与はほとんどないことが大規模な無作為比較試験により証明されている.一方,腋窩リンパ節郭清には局所コントロールと予後の予測という重要な役割がある.よってLevel ⅠとⅡをまず郭清して,術中に転移がみつかればLevel Ⅲまで郭清を広げればよい.多数の腋窩リンパ節転移を伴う症例では,領域リンパ節(胸骨傍や鎖骨上)に転移を伴いやすいとはいっても徹底郭清の生存に対する利点はないので,むしろ大規模な無作為比較試験の結果を踏まえて,乳房切除後に胸壁と領域リンパ節への放射線照射を行い,生命予後を向上させるといった方針が推奨される.センチネルリンパ節生検が登場し,その精度の高さが確立されてきたので,今後はセンチネルリンパ節に転移陽性の場合,Level Ⅲまで郭清するという方針が普及すると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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