icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 消化器外科における機能検査

食道内圧検査と24時間pHモニタリング

著者: 下位洋史1 森俊幸1 跡見裕1

所属機関: 1杏林大学医学部第1外科

ページ範囲:P.417 - P.424

文献購入ページに移動
はじめに
 食道は嚥下された飲食物や唾液を胃内に運搬するための管腔臓器であり,蠕動能を持つ.食道から胃への嚥下物の運搬は食道運動能の協調により行われている.すなわち,口腔内容が嚥下され食道内へ運ばれると,迷走神経反射により上部食道から下部食道に向かって蠕動が起こり(一次蠕動波の出現),食道内を輸送する.この時嚥下運動にやや遅れて下部食道括約筋(LES)が弛緩し,嚥下物は胃内へ排出される.また,食道は縦郭内に存在し呼吸運動に伴い陰圧となることや,腹圧などによる胃内圧の上昇により胃食道逆流(GER)をきたしやすい状態にある.これに対し,下部食道高圧帯(HPZ)や食道裂孔のピンチコックアクションなどの協調により胃食道逆流を防いでいる1).GERは胃内容物がLESにおける圧勾配による逆流防止機構により抑制できない際に起こる.正常でも胃内圧の上昇などによりLESが一過性に弛緩する(TLESR)ことが知られており,GERがみられる2,3).食道内の逆流物はその刺激による新たな食道体部の蠕動波(二次蠕動波)の出現により速やかに胃内にまで搬送される.
 食道内圧検査は下部食道における逆流防止機構や食道体部運動機能の異常の有無,程度の評価に不可欠な検査であり,食道内pHモニタリングはGERの程度を評価するために行う検査である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?