文献詳細
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忘れえぬ人びと
受持医となる
著者: 榊原宣1
所属機関: 1十全会心臓病センター榊原病院
ページ範囲:P.483 - P.483
文献購入ページに移動 腹部大動脈瘤破裂.思いもかけない疾患の出現に術者も助手も,そして器械出しの看護婦も,この手術に関与していた者みんなびっくりした.まず輸血が間に合うかどうかが確認された.ついで,この動脈瘤が左右腎動脈分岐部にかかっていないことが確かめられた.そこで,動脈瘤の部分を含んで腹部大動脈を切除,人工血管移植ということになった.その動脈瘤がどんな性質のものであるかを考える時間はなかった.これまでにこの外科にとって,腹部大動脈瘤切除,人工血管移植の経験はなかった.非常事態に医局員が集められた.この中に私もいたのだが,なにを担当したのか覚えていない.移植される人工血管はY字型テフロン製のものだった.幸い手術はうまくいき,一期的に閉腹することができた.術後診断名は腹部大動脈瘤破裂とされた.術後経過は良好で,術後7日目,型どおりの抜糸をすると大変,腹部手術創が全部哆開した.直ちに再手術ということになった.
とにかく,腹腔内から血性膿汁の排出が第一.血管吻合部をみると,出血がみられる.数本の排膿ドレーンが留置された.1〜2日経過観察されたが,そのうち膿汁に糞臭のあることに気づいた.そこで,再々手術が行われた.上行結腸に二連銃式人工肛門造設術が施行されたが,初回手術創が大きくならないよう創上端に2針縫合糸がかけられた.
とにかく,腹腔内から血性膿汁の排出が第一.血管吻合部をみると,出血がみられる.数本の排膿ドレーンが留置された.1〜2日経過観察されたが,そのうち膿汁に糞臭のあることに気づいた.そこで,再々手術が行われた.上行結腸に二連銃式人工肛門造設術が施行されたが,初回手術創が大きくならないよう創上端に2針縫合糸がかけられた.
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