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特集 肝切除術のコツ 手術
Pringle手技の実際
著者: 徳原真1 森俊幸1 杉山政則1 跡見裕1
所属機関: 1杏林大学医学部第1外科
ページ範囲:P.609 - P.612
文献購入ページに移動肝切除術は安全そして確実に行える術式の一つとなり,消化器外科の手術のなかでも決して特別なものではなくなっている.的確な肝予備能評価に基づいて切除範囲が決定されるようになったことや,周術期管理の進歩などが肝切除術の成績の向上につながったのはいうまでもない.しかし近年,著しく向上した肝切除術の安全性は術中出血量の減少によるところも大きい.術中出血量と術後合併症や予後は相関することがよく知られており1,2),肝切除術においては,いかに出血量を少なくできるかは重要な点である.
1908年にPringleは肝外傷による出血に対して肝動脈,門脈という肝臓への送血路を遮断する肝阻血法により出血のコントロールを行った3).肝切除術においても,この肝阻血法が術中出血量の減少に大きな役割を果たしており,現在ではさまざまな肝阻血法が報告されている.本稿では肝切除術における代表的な肝阻血法であるPringle法について当教室で行っている方法を示し,手技の実際とそのポイントについて解説する.
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