icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻5号

2002年05月発行

特集 肝切除術のコツ

手術

下大静脈靭帯の同定と処理の仕方

著者: 山本順司1 阪本良弘1 関誠1 上野雅資1 大山繁和1 太田惠一朗1 畦倉薫1 太田博俊1 松原敏樹1 山口俊晴1 武藤徹一郎1

所属機関: 1癌研究会病院消化器外科

ページ範囲:P.613 - P.616

文献概要

下大静脈靭帯とは
 下大静脈靭帯はIVC(inferior vena cava)の肝静脈流入部よりやや足側でIVC背側にあり,肝臓の左右を結合している索状組織のことを指し,AnsonとMaddock1)やSobottaの解剖学書には,取り出した肝臓の背側からの俯瞰図にその描写がある(図1).肝の横断図では,右側尾状葉と左側尾状葉の頭側部分をIVCの背面で結合するように張っている線維組織である(図2a).
 その位置関係のためにIVCから肝臓背面を剥離する際,RHV(right hepatic vein)背側を露出するために必ず切離する組織であり,認識していないとRHVを同定する際に困難を感じることになるという理由で臨床的に重要であり,Kune2)は「RHVはIVC流入部近くで0.5〜1.8cm程度肝の外を走行するが,多くの症例ではその部位に線維性の層状組織があり,流入部位がわかりにくくなっている.その線維性の組織は肝被膜より発しRHVの右側にある」と記載している.幕内ら3)は右葉切除や後区域切除の際にRHVを肝外から処理する際にこの靭帯を同定切離することの重要性を指摘している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら