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文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻5号

2002年05月発行

特集 肝切除術のコツ

手術

右肝静脈の剥離のコツと損傷時の対処方法

著者: 近藤哲1 平野聡1 安保義恭1 田中栄一1 奥芝俊一1 森川利昭1 加藤紘之1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科

ページ範囲:P.617 - P.619

文献概要

手術直前の準備
 肝静脈を剥離する際に起こる出血のほとんどは分枝の引き抜き,引き裂き損傷1)によるもので,その量は肝静脈圧すなわち中心静脈圧(CVP)に依存する.肝静脈壁が心拍動に同期してペコペコする状態が理想的で,通常CVPは5cmH2O以下がよい2,3).麻酔科医にこの事実をよく理解してもらい,肝切除が終了するまではhydrationを抑えるように協力してもらうことが極めて重要である.肝静脈壁が張りっぱなしの状態は圧が高すぎる危険な状態で,小孔からでも血液は噴出する.この場合はむりに手術を進めないほうが賢明で,麻酔科医にCVPを下げてもらうよう要請する.希釈式自己血輸血の要領で瀉血することにより劇的に出血が減少することも経験している.
 肝静脈圧を低く保つためには体位の選択も重要である.手術台のローテーションを利用して手術操作部位をできるだけ右房よりも高くすることで肝静脈圧を下げることができる.この点で,右肝静脈(RHV)を剥離する際には右開胸開腹連続斜切開(いわゆる右胴切り)(図1,2)はきわめて有効である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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