文献詳細
特集 肝切除術のコツ
手術
Glisson鞘一括処理を安全に行うコツ
著者: 大坪毅人1 高崎健1 山本雅一1
所属機関: 1東京女子医科大学附属消化器病センター外科
ページ範囲:P.627 - P.629
文献概要
門脈,肝動脈,胆管は肝内ではグリソン鞘とよばれるしっかりとした結合織で被われている.肝外においても動脈,門脈,胆管は粗な結合織に囲まれ,その周囲を腹膜に被われていることから,肝内・肝外門脈系をグリソン鞘樹として扱うことは可能である.尾状葉枝の分岐する肝外グリソンをグリソン鞘一次分枝とすると,肝内に入る二次分枝は左区域枝(左葉枝),中区域枝(前区域枝)右区域枝(後区域枝)の3本がある1)(図1).グリソン鞘一次分枝内の動脈,門脈,胆管の分岐形態には一定の規則性がなく,症例によりさまざまである.ところが肝内に流入するグリソン鞘二次分枝以降では動脈,門脈,胆管はそれぞれ区域枝,区画枝として規則正しく分岐する.このため,グリソン鞘一括処理はグリソン鞘二次分枝以降で安全に行うことができる2).すなわち左葉切除は左区域枝の処理により,右葉切除は中区域枝および右区域枝の処理により行われる.
掲載誌情報