文献詳細
特集 肝切除術のコツ
手術
肝切離線決定のコツと方向の維持
著者: 木村文夫1 伊藤博1 清水宏明1 外川明1 宮崎勝1
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
ページ範囲:P.643 - P.646
文献概要
肝切除は基本的に肝の授動,肝門処理(またはグリソン鞘処理),肝静脈の処理,肝切離の順で行われる.この一連の手術操作のなかで肝切離は外科医が最も緊張する場面の一つであろう.肝切離時の肝静脈の損傷は大出血や空気塞栓を起こす危険性をはらんでいるからである.この肝切離にあたって最も重要なことは,つねに肝切離面と主要な脈管(とくに肝静脈)との位置関係を念頭に置きながら,脈管の温存と切離を的確に進めることである.
肝切離時の出血量を減少させる方法として,Pringle法や全肝阻血法などの肝阻血法が工夫され1〜3),またwater jet4),cavitron ultrasonic surgicalaspirator(CUSA)5,6),microwave tissuecoagulator7),ultrasonically activated scalpel8,9)などの手術器具が用いられてきている.どのような阻血法や器具を用いるにしても,いかに肝切離線を決定するかが最も重要であることに変わりはない.使い慣れた器具で,適切な切離線を描くことが安全な肝切除につながると考えられる.本稿では,肝切離線決定のコツと方向の維持について述べる.
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