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文献詳細

雑誌文献

臨床外科57巻7号

2002年07月発行

文献概要

特集 外科診療とステロイド療法

食道癌術前ステロイド単回投与の周術期に及ぼす影響について

著者: 竹村茂之1 山本昌督1 長尾成敏1 佐治重豊1

所属機関: 1岐阜大学医学部第2外科

ページ範囲:P.885 - P.890

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 過大侵襲に対する術前ステロイド投与の影響を食道癌手術症例を用い,転移に及ぼす影響をマウス実験腫瘍を用いて検討した.その結果,臨床的検討からは術前ステロイド投与は炎症性サイトカインの過剰産生を抑制し術後経過を良好にしたが,Th1を中心とした細胞性免疫の回復が遅延し残存腫瘍の増殖を促進する可能性が示唆された.また,実験的検討では,担癌マウスにステロイドを単回投与すると転移が有意に促進されたが,過大侵襲時に併用投与するとサイトカインの過剰産生部分と接着分子の発現が抑制され,結果的に転移抑制に作用する可能性が示唆された.それゆえ,ステロイドの術前単回投与は有用であるが,さらなる適応拡大や大量投与には慎重を要するものと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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