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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科57巻9号

2002年09月発行

雑誌目次

特集 パソコン活用術とその周辺

外科とIT

著者: 小野貴弘 ,   萩原優

ページ範囲:P.1169 - P.1174

 IT時代を迎えここ数年のネットワークの発達は加速度的である.IT技術のなかのひとつがインターネットである.またLANの浸透には驚くべきものがある.インターネットに接続するということは,WWWというプロトコールを使い,基幹ネットワークに接続し,世界中の情報を見ることであり,交わされる情報も膨大なものになっている.
 ネットワーク技術はあらゆる機械間の連結を可能とし,外科領域ではインテリジェント手術室の出現に至っている.ネットワークシステムを活用するには,情報の蓄積・共有化により治療戦略情報システムを構築することが今後の課題だと思われる.

医学に役立つホームページ

著者: 竹腰正隆

ページ範囲:P.1175 - P.1185

 インターネットの広大な空間を紹介する.まずは英語の読み書きに関するものである.初心者が英語を読むのにサポートするLSD-RAPのページと,英語の論文の書き方をサポートするLSDのページを紹介する.次に最新の特許情報などを含む医学最先端の情報を紹介する.またインターネットで読める医学系の新聞は便利である.My Mediproのサービスはインターネット上の秘書といった感がある.国立がんセンターはこの分野では古くから情報を発信してきた研究機関である.最後に,自分で必要なサイトを見つけるための検索サイトの利用法を記したので,どんどん自分に必要なホームページ(HP)を探して欲しい.

文献検索の仕方

著者: 山田恭司

ページ範囲:P.1187 - P.1193

 インターネットの普及により,情報収集の方法は大きく変化し,文献検索も図書館に行くこともなく,IDとパスワードさえあれば自分のパソコンで即座にできるようになった.ネット上には無料の医学文献検索サイトもあり,とくに米国国立図書館が提供するPubMedは誰でもが利用できる有用なデータベースである.医学雑誌を含めて文献雑誌はネット上でフルテキストを閲覧できる電子ジャーナル化が進んでおり,文献検索だけでは本当に図書館が必要なくなる日も近いと考える.日本語医学文献検索は医中誌Webが使いやすく,収載誌も多い.PubMedと医中誌Webの簡単な使用法について述べる.

症例報告のスライドを作る

著者: 讃岐美智義

ページ範囲:P.1195 - P.1204

 症例報告のスライドの作成で最も大切なことは,問題点は何か,新たな知見は何か,どのような点を強調したいのかを始める前に明らかにしておくことである.それに加えて,使用するソフトウエアの操作法やスライドの作成要領を理解しておけば,症例報告のスライド作成は容易である.本稿では,症例報告のスライド作成を行う代表的なソフトウエアPowerPoint (Microsofft社)使用上の注意点に加え,スライド作成以外の機能(発表練習機能や発表原稿の印刷)に関するコツとポイントを紹介する.

コンピュータプレゼンテーションの勧め

著者: 北川雄光 ,   北島政樹

ページ範囲:P.1205 - P.1209

 従来のスライドを用いた発表形式に代わって,コンピュータプレゼンテーションが普及しつつある.アニメーション効果の併用により,文字や画像に動きを加えることで要点を明確にし,流れを把握しやすい効果的な発表が可能になるばかりでなく,ビデオクリップの挿入により短時間に手技の要点を供覧することもできる.発表データの保存や整理,変更などにも対応しやすい.一方,トラブルが発生すると大きな混乱を招くことが懸念され,導入をためらう傾向もみられる.しかし,最近の機器の発達,とくに互換性の向上によりトラブルが発生する危険は少なくなってきている.学会主催者,発表者双方が陥りやすいトラブルの原因を周知することで,トラブルの発生は減少し,今後ますます普及することが予想される.まずは簡単なPCプレゼンに挑戦し,その楽しさを味わっていただきたい.

印刷に必要な画像知識

著者: 佐藤一幸

ページ範囲:P.1211 - P.1215

 最近のコンピュータの普及により,画像データが手軽に扱える環境になってきた.しかし,個人で完結する場合はよいのだが,出版物にしたり別の場で利用する際に,色や画質の問題が発生する.その問題を最小限にとどめるために,色再現の限界や画像品質向上の技術を理解することが必須条件になる.

デジタルカメラ活用の勧め

著者: 田仲曜 ,   幕内博康 ,   田島知郎

ページ範囲:P.1217 - P.1222

 医療の現場では,銀塩カメラを使用して記録を残している施設もまだ多いと思われるが,デジタルカメラを用いた簡単でコストパフォーマンスのよい術中写真の撮り方や,標本撮影,顕微鏡写真撮影,X線写真の取り込みについて述べる.術中写真は,銀塩カメラでは無影灯を外してフラッシュを用いて撮影するのが一般的であるが,デジタルカメラでは無影灯の光でそのまま撮影してよい.標本撮影はできるだけ固定して撮影したほうがよい.近接撮影となるためフラッシュを使用しない.顕微鏡写真撮影で最も簡単なのは,接眼レンズで直接撮影する方法である.X線写真はシャウカステンに写真をかけて,三脚を使用し撮影する.

手術や内視鏡に活用できるデジタルビデオ撮影

著者: 田仲曜 ,   幕内博康 ,   田島知郎

ページ範囲:P.1223 - P.1229

 手術や内視鏡などの動画は非常に教育効果が高い.家庭用のビデオカメラで撮影,記録する方法について述べる.ビデオカメラはデジタルビデオカメラがよいが,アナログでもコンバーターを使用すればデジタル編集が可能である.手術を記録するときは通常の三脚では術野を斜めに撮影することになり,術者の頭が邪魔になる.術野の真上にカメラを設置すれば頭が邪魔になることが少なくなる.安価で簡単に術野の真上から撮影する道具は,スタジオ撮影用のライトスタンドにブームユニットを接続して作成できる.消化管内視鏡や内視鏡下手術を撮影する場合は,モニターの出力用のS端子とビデオカメラをつなぐ.内視鏡のモニターと同じ画面がビデオカメラのモニターに映ればリモコンで録画ボタンを押すだけで記録される.デジタルノンリニア編集は,家庭でも気軽にできるものとなった.iMovie2による編集について述べる.

簡単にできる統計処理

著者: 長田理

ページ範囲:P.1231 - P.1239

 従来の統計解析では背景因子を統一したうえで検討項目を比較する方法が中心であったが,患者背景を均一化することができない状況を対象とする疫学調査では,背景因子の影響を調整する必要が生じる.疫学研究に基づくEBMの普及によって,単純で膨大な計算処理を迅速かつ手間をかけずに処理するパソコン統計解析の主流は古典的比較検定から多変量解析とメタアナリシスへと移行しつつある.統計ソフトでメタアナリシスが可能なものはほとんどないが,比較的手順が簡単であるため表計算ソフトを利用するとよいであろう.多くの統計ソフトで解析可能な生存分析,共分散分析,ロジスティック回帰分析は,EBMに対応した統計解析としても重要である.

医療ネットワークにおけるモバイル機器の活用

著者: 原量宏 ,   岡田宏基 ,   木村敏章 ,   千田彰一 ,   梶原明美 ,   木村イツ子

ページ範囲:P.1241 - P.1249

 医療のIT化は急速に進むことが予想されているが,医療機関相互のネットワーク連携のみでは不十分であり,在宅の患者に関してもネットワーク化が進むと思われる.在宅管理に関しては,CATVや電話回線を用いた在宅健康管理システムが試みられているが,これらのシステムをモバイル化すればさらに使いやすいシステムになる.モバイル化の利点は,患者,医療従事者双方が場所を問わずに情報を活用できる,リアルタイムに情報交換できる,医療従事者間の相互支援ツールとして機能するなどにまとめられる.今後小型で使いやすいモバイル機器が開発され,保健・医療・福祉の分野で広範に利用される時代がくると思われる.

カラーグラフ 正しい外科切除標本の取り扱い方・18

膵臓の切除標本の取り扱い方

著者: 沢井博純 ,   舟橋整 ,   岡田祐二 ,   田中守嗣 ,   竹山廣光 ,   真辺忠夫

ページ範囲:P.1163 - P.1167

はじめに
 切除標本を正確に観察・整理することは,外科医にとって術前診断と術後の肉眼所見とを比較し,今後の手術術式・リンパ節郭清に反映させることに大きく役立つ.正確な病理組織診断を得るためには,切除標本を慎重に,最小限の損傷で取り扱うことが必要である.
 悪性腫瘍の切除標本整理は各臓器別の癌取扱い規約に準じて共通の基準で行われることが重要で,それにより手術成績などのデータが集積・比較検討され,今後の治療戦略に大きく貢献している.

目で見る外科標準術式・33

全胃温存,腹腔動脈合併切除を伴う膵体尾部切除術

著者: 富川盛啓 ,   菱沼正一 ,   尾澤巖 ,   尾形佳郎

ページ範囲:P.1251 - P.1258

手術適応
 周囲血管に浸潤する膵癌に対する動脈合併切除例の予後は不良であるため,その適応は厳格に検討する必要がある.筆者らは腹腔動脈周囲への浸潤を認める膵癌症例のうち後腹膜浸潤が軽度で,第1群リンパ節以遠に転移を認めず,膵頭部を温存できるものをこの術式の適応としている.この術式では術後の肝および胃への血行動態の問題から上腸間膜動脈から膵頭部アーケード,胃十二指腸動脈が浸潤を受けずに温存できることが必須条件である1)(図1).

ここまで来た癌免疫療法・6

—臨床の場で実際に行われてきた癌免疫療法—ペプチドなどを用いたワクチン療法

著者: 角田卓也 ,   田原秀晃

ページ範囲:P.1259 - P.1262

リード
 エピトープペプチドを用いた癌ワクチン療法の背景と臨床試験の結果を考察する.さらに臨床試験により明らかになった問題点を解析する.

病院めぐり

越谷市立病院外科

著者: 松本文夫

ページ範囲:P.1264 - P.1264

 越谷市は埼玉県の東南部に位置し,都心から25km程の距離にあります.首都圏の衛星都市でもあり,人口も31万人を超えています.東武伊勢崎線越谷駅の東口から市役所を過ぎ,市民の散歩コースとなっている元荒川を渡り,しばらく行くと市立病院が見えてきます.越谷市立病院は昭和51年に開院され,当地域の医療充実の一翼を担ってきました.平成10年には増改築が完成し,現在ベッド数481床の総合病院となっています.平成9年には厚生省より,臨床研修病院に指定されています.
 当外科では,消化管疾患,肝胆膵疾患,乳腺疾患を中心に,他の一般外科や胸腔鏡手術を行っています.昨年度の入院患者手術総数は700例でした.悪性疾患では食道癌8例,胃癌64例,大腸癌96例,肝胆膵癌21例,乳癌53例などが主な疾患でした.胃早期癌に対する幽門温存胃切除,胸部食道癌に対する胸腔内吻合法などを症例に応じて積極的に取り入れています.肝胆膵疾患ではハーモニックスカルペルの応用や膵管空腸吻合の工夫などにより安全な手術を目指しています.また,病理医や放射線科医との協力のもとで乳房温存療法も増加しています.良性疾患では胆石症が多く,年間90例を腹腔鏡下に手術しており,総胆管結石に対する腹腔鏡下手術も積極的に行っています.その他,急性虫垂炎91例,ヘルニア106例,気胸に対する胸腔鏡下手術16例,消化管穿孔,肛門疾患などが主な疾患でした.

国立がんセンター東病院消化器外科

著者: 井上和人

ページ範囲:P.1265 - P.1265

 国立がんセンター東病院は1992年7月に千葉県柏市に開院.陽子線治療施設,緩和ケア専門病棟など最近話題となった新施設をはじめ各診療科が新規開院であるメリットを最大限に生かし,特徴ある診療体制をとっています.
 外科は頭頸部,胸部,乳腺,消化器の4部門に分かれていますが,その中で今回は消化器外科に絞ってご紹介致します.消化器外科が扱うのは腹部食道以下の消化管と肝胆膵ですが,後腹膜腫瘍や婦人科を除く泌尿器疾患も扱っているので消化器外科は腹部外科と同義です.上腹部外科(木下平部長以下6名)と骨盤外科(斎藤典男部長以下5名)の2科に分かれ,上腹部外科は肝胆膵,十二指腸,骨盤外科は大腸肛門,泌尿器疾患を主な診療科目とし,胃疾患は両者で半分ずつ分担して診療しています.腹部のがんは単一臓器に限局している間は各科で対応可能ですが,周囲臓器へ進展すると両科の連携が必要になることが多く,また診断と治療の面で内科や放射線科との連携が不可欠です.このため毎週1回,外科,内科,放射線科が集まり「消化器科」として,治療対象となる全症例を提示しあって合議制で治療方針を決定しています.

文学漫歩

—モーパッサン(著),新庄嘉章(訳)—『脂肪の塊』(1978年,講談社 刊)

著者: 山中英治

ページ範囲:P.1266 - P.1266

 日本静脈経腸栄養学会の「NST(nutrition sup-port team)プロジェクト実行委員会」で,タスクフォースに任命された.クリニカルパスでチーム医療の楽しさを味わったので,NSTにも取り組むことにした.栄養上の先生とも知り合いになれ,日本栄養改善学会で「術前術後栄養管理」の司会をさせて頂いた.
 栄養士の視点はずいぶん勉強になった.最近は栄養評価を詳細に行う外科医は少ない.かつては癌といえば栄養不良という時代もあったが,早期発見も増え,食べられなくなり受診することも稀である.最近は逆に肥満が多く,胃切除手術後に高脂質血症や糖尿病が治ることも多いという発表はまさに発想の転換を迫られるものであった.

忘れえぬ人びと

M.I.さん

著者: 榊原宣

ページ範囲:P.1267 - P.1267

 5月22日,午前11時過ぎ.会議は白熱していた.その時,小さな紙切れが渡された.紙切れにはM.I.さんが午前10時15分亡くなったとの渡辺英章博士からの報せがメモしてあった.M.I.さん.私にとって,忘れえぬ人びとの1人である.
 M.I.さんは1989年1月5日,外来に紹介患者として現れた.紹介元は当大学婦人科だった.正月明けを待って早々の受診だから,緊急患者である.婦人科の紹介紙に食道癌とある.年齢をみると,1918年12月10日生まれである.早速,腹部を診ると,上腹部にも,下腹部にも正中切開手術瘢痕がある.1982年,胆石症で胆嚢摘除術,1983年,子宮頸癌で手術を受け,その後放射線治療を受けている.1986年,イレウス,1989年7月と9月にもイレウスで入院,治療されている.いずれも手術は行われていない.同年12月7日,上腹部不快感があるため,上部消化管X線検査を受けたところ,下部食道に異常所見を指摘された.12月18日になって嘔吐が現れたため,婦人科へ緊急入院した.12月21日,内科で内視鏡検査が施行され,食道癌と診断されたとのことだった.患者本人は癌ならこのままにしてほしい.手術は痛いからいやだと強情を張る.とにかくよく診て,最善を尽くすからとなだめた.

私の工夫—手術・処置・手順

腹腔鏡下胆管切開切石術における胆管切開創の縫合

著者: 中川国利 ,   鈴木幸正 ,   豊島隆 ,   桃野哲 ,   佐々木陽平 ,   小山研二

ページ範囲:P.1268 - P.1269

 胆管切開切石術を鏡視下で行う場合は,胆管切開創の縫合が技術的に困難であり,また縫い代や糸の緊張を微調整できる結節縫合が推奨されている1,2).しかし,結紮回数が多いために難度が高く,時間を要することが難点である.筆者らはこれを連続縫合で行い,かつ結紮が1回のみで済む方法を考案し,良好な結果を得ている.ここに胆管切開後,Tチューブを挿入する場合の筆者らの方法を報告する.

米国でのProblem-Based Learning形式による外科研修

Problem-Based Conference(11)—Controversyとプロトコール:乳癌の治療(その1)

著者: 町淳二 ,   児島邦明

ページ範囲:P.1271 - P.1282

1 はじめに
 前回は重症多発外傷の症例を取り上げて,スタンダードケアについてディスカッションしましたが,その際にcontroversyについても触れました.Evidenceに基づいてスタンダードとして確立している診断法や治療法に対して,種々のevidenceによっても確立されていない事柄や問題点をcontroversyと呼ぶことができます.すなわち,1つのコンセンサスとして意見が統一しておらず,まだ議論の余地のある(controversial)診断法や治療法などです.このような問題点に対しては,さらに新たなevidenceを追求すべく,臨床試験(clinical trial)が施行されることになります.この臨床試験を立案し,出来上がった試験方法・手順をプロトコール(trial protocol)と呼びます.前回も述べたとおり,新しいevidenceの発見によって,スタンダードはときとともに変わっていく可能性がありますし,逆にいえばcontroversyも同様に変わっていくことになります.
 したがって,医学生や研修医の教育・指導に当たっては,指導医はこのスタンダードとcontro—versyを常に明確にし,そのためには新しいevi—denceやコンセンサスに常に注意を払っておく必要があります.

臨床経験

大腸癌術後癌性イレウス症例に対する在宅経胃瘻的消化管減圧療法の経験

著者: 長谷部行健 ,   上田哲郎 ,   若林巳代次 ,   小澤哲郎 ,   山口宗之

ページ範囲:P.1283 - P.1286

はじめに
 近年,末期癌患者に対する在宅静脈栄養療法の進歩には目覚しいものがあり,その進歩は末期癌患者の在宅での活動時間を延長し,quality of life(QOL)の維持向上に重要な役割を果たしている1)
 しかし,癌性腹膜炎によるイレウスを併発した症例ではイレウス管挿入が必要となり,在宅での治療は困難であり,在宅静脈栄養療法の適応外となる場合が多い.

臨床報告・1

胃癌術後に発症し鑑別診断に苦慮した腹部結核性リンパ節炎の1例

著者: 浦川雅己 ,   高橋克之 ,   澤田玲 ,   山本英司

ページ範囲:P.1287 - P.1290

はじめに
 わが国における結核性疾患の罹患率は1997年に10万人あたり33.9人と43年ぶりに前年を上回り,上昇に転じた.また1997年から1998年にかけても33.9から34.8人と2年連続で上昇している1)
 結核症例を経験したことのない臨床医も少なくなく,鑑別診断の落とし穴となることも多い.今回,早期胃癌の術後に大動脈周囲リンパ節腫大を認め,その鑑別診断に苦慮した1例を経験したので報告する.

早期胃癌と胃MALT lymphomaの併存病変に対する1手術例

著者: 矢島和人 ,   小田幸夫 ,   高桑一喜

ページ範囲:P.1291 - P.1295

はじめに
 胃mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma(以下,胃MALT)は1983年にIssacsonとWright1)が提唱した新しい概念で,胃腫瘍で稀な疾患である.一方,同一胃内で違った癌腫が併存することも稀であり,早期胃癌と胃MALTの併存例の報告は非常に少ない.今回,筆者らは両病変の併存例に対する1手術例を経験したので報告する.

検診で発見された虫垂切除断端癌の1例

著者: 杉原重哲 ,   生田義明 ,   小林広典 ,   米満弘一郎 ,   金子隆幸 ,   江上哲弘 ,   瀬戸口美保子

ページ範囲:P.1297 - P.1299

はじめに
 虫垂癌は比較的稀な疾患であり,術前診断も困難なことが多い.今回,筆者らは虫垂切除術後41年目に検診を契機に発見された切除断端から発生した虫垂癌を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.

大腸内視鏡検査が契機となった腹腔内出血の1例

著者: 正木裕児 ,   森下朝洋 ,   前田勝利 ,   小川宣直 ,   内田善仁

ページ範囲:P.1301 - P.1303

はじめに
 大腸内視鏡の合併症はそのほとんどが穿孔や腸管内出血であり,腹腔内出血を引き起こすことは非常に稀である1).今回,大腸内視鏡が原因で腹腔内出血を発症したと考えられた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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