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文献概要
米国でのProblem-Based Learning形式による外科研修
Problem-Based Conference(11)—Controversyとプロトコール:乳癌の治療(その1)
著者: 町淳二1 児島邦明2
所属機関: 1ハワイ大学医学部外科 2順天堂大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1271 - P.1282
文献購入ページに移動前回は重症多発外傷の症例を取り上げて,スタンダードケアについてディスカッションしましたが,その際にcontroversyについても触れました.Evidenceに基づいてスタンダードとして確立している診断法や治療法に対して,種々のevidenceによっても確立されていない事柄や問題点をcontroversyと呼ぶことができます.すなわち,1つのコンセンサスとして意見が統一しておらず,まだ議論の余地のある(controversial)診断法や治療法などです.このような問題点に対しては,さらに新たなevidenceを追求すべく,臨床試験(clinical trial)が施行されることになります.この臨床試験を立案し,出来上がった試験方法・手順をプロトコール(trial protocol)と呼びます.前回も述べたとおり,新しいevidenceの発見によって,スタンダードはときとともに変わっていく可能性がありますし,逆にいえばcontroversyも同様に変わっていくことになります.
したがって,医学生や研修医の教育・指導に当たっては,指導医はこのスタンダードとcontro—versyを常に明確にし,そのためには新しいevi—denceやコンセンサスに常に注意を払っておく必要があります.
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