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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻10号

2003年10月発行

文献概要

手術手技

ハーモニック スカルペル(R)Ⅱを用いた腹腔鏡下胆囊摘出術―キャビテーション現象を応用した層剝離

著者: 高木純人1 金子弘真1 柴忠明1

所属機関: 1東邦大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1385 - P.1389

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はじめに

 腹腔鏡下胆囊摘出術(LC)において,Calot三角で胆囊管,胆囊動脈を切離した後に胆囊頸部を挙上し,肝床切離を行う逆行性胆囊摘出術は,現在LCの一般的な手技として広く行われている1).しかしながら,Calot三角周囲の炎症性肥厚や解剖学的変異のため胆囊管の露出・確認に難渋した場合,総胆管を胆囊管と誤認し,損傷してしまう頻度はいまだ開腹術のおよそ2倍程度とされている2~4).Fundus down approachは従来開腹術で行われていた手技であり,胆囊底部から剥離を開始し,解剖学的位置関係が明確となった後に胆囊管の処理を行うものである.このため,胆囊管周囲の良好な視野のもとに安全な胆囊管処理が可能であり,容易な症例のみならず,困難症例においても胆管損傷の危険性がきわめて少ないと考えられている5)

 一方,ハーモニック スカルペル(R)(ジョンソン・エンド・ジョンソン社;HS)は超音波エネルギーを利用した手術機器で,凝固切開能力に優れ,電気メスに比べて組織の熱損傷が少ないという利点を持つ.さらに止血効果に優れることから,鏡視下手術のみならず,近年,開腹手術においても多用されてきている.加えて,2002年4月から本邦でもハーモニック スカルペル(R)(HSⅠ)の改良型であるハーモニック スカルペル(R)Ⅱ(HSⅡ)が使用可能となり,より難易度の高い手術手技へも対応が可能となった.

 本稿では,LCの標準術式として筆者らが行っているfundus down approachに,HSⅡから発信されるキャビテーションによる層剥離法を応用しているので,手術手技を中心にその有用性について報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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