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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻12号

2003年11月発行

文献概要

特集 浸潤性膵管癌の診療をどうするか

高度進行膵癌の治療法の選択

著者: 上坂克彦1 梛野正人2 新井利幸2 西尾秀樹2 湯浅典博2 小田高司2 前田敦行1 江畑智希1 金本秀行1 伊在井淳子1 二村雄次2

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科 2名古屋大学大学院器官調節外科

ページ範囲:P.1499 - P.1503

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 進行膵癌では,遠隔転移や明らかな大動脈周囲リンパ節転移がない場合,門脈系,動脈系,膵外神経叢への浸潤の有無と程度に着目して手術適応と術式を決める.門脈系への浸潤に関しては,門脈狭窄・閉塞によって著明な側副血行路が形成されている場合には手術適応はないが,それ以下の浸潤の場合は門脈合併切除の適応がある.動脈系については,癌の主座にかかわらず上腸間膜動脈浸潤には手術適応はない.膵頭部癌では,総肝動脈~固有肝動脈浸潤は原則的には手術適応はないが,膵体尾部癌では総肝動脈・腹腔動脈の浸潤にはAppleby手術変法の適応がある場合がある.主要動脈周囲の神経叢に浸潤がある場合の手術適応は,動脈系への浸潤の場合とほぼ同じである.今後は,進行膵癌の手術適応や術式選択に関して,無作為比較試験によるevidence levelの高い研究結果を本邦から発信していくことが求められている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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