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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻12号

2003年11月発行

文献概要

目で見る外科標準術式・42

ヘルニア システム法(内鼠径ヘルニアの場合)

著者: 山本俊二1 成田匡大1 亀山謙1 田村信子1 岡本正吾1 坂野茂1 山本正之1

所属機関: 1神鋼病院外科

ページ範囲:P.1515 - P.1524

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はじめに

 Open tension-freeヘルニア修復術は成人鼠径ヘルニアに対する標準術式となっているが,現在いくつかの形態のメッシュが用いられており,それぞれの適応については議論がある.プラグでヘルニア門を閉鎖するmesh plug法(メディコン,大阪)はプラグの硬結収縮やプラグとヘルニア門との隙間からの再発の危険がある.特に内鼠径ヘルニア症例では鼠径管後壁(Hesselbach三角)全体がヘルニア門になるためプラグのみではヘルニア門の閉鎖は不十分であり,メッシュ・シートでHesselbach三角全体を広く覆うことが必要である.一方,メッシュ・シートをonlay patchとして鼠径管後壁にあてるLichtenstein法は精索を通すスリットからの再発の危険がある.小切開創から腹膜前腔に特製のメッシュ・シートをunderlay patchとして留置するKugel法(メディコン,大阪)は術野の確保が困難であり,またメッシュの固定が確実でないため再発の危険がある.これらに対して,2枚のメッシュ・シートからなるPROLENE(R)Hernia System(ジョンソン・エンド・ジョンソン,東京)は下部パッチはコネクターとともに風呂桶の底の栓のように腹膜前腔側からヘルニア門を閉鎖するので,内鼠径ヘルニアでの大きなヘルニア門(Hesselbach三角)にも有用である.外鼠径ヘルニアでは内鼠径輪からの腹膜前腔の剥離は4~5cmくらいが限界であり,この剥離範囲に応じて下部パッチの大きさをトリミングする必要があるが,内鼠径ヘルニアではヘルニア嚢の処理の段階で腹膜前腔を広く剥離しており,下部パッチの腹膜前腔への挿入および展開は容易であり,また,下部パッチをトリミングする必要もない.

 本稿では,右側の内鼠径ヘルニアに対するヘルニア システム法について図説を中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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