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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻13号

2003年12月発行

特集 内視鏡下手術で発展した手技・器具の外科手術への応用

超音波外科吸引装置,超音波凝固切開装置および自動吻合器による膵臓切離

著者: 黒田嘉和1 鈴木康之1 藤野泰宏1 谷岡康喜1 酒井哲也1 市原隆夫1

所属機関: 1神戸大学大学院消化器外科

ページ範囲:P.1625 - P.1629

文献概要

 膵臓外科における膵臓の切離は膵液瘻発生に直接関わる重要な手技であり,最近は超音波外科吸引装置,超音波凝固切開装置および自動吻合器などの使用で好成績が報告されている.これらの器具を用いた膵臓の切離手技は内視鏡下手術でも同時進行的に発展を見せている.超音波外科吸引装置による膵臓の切離では分枝膵管まで露出して確実に結紮・切離できるので,膵断端の虚血や挫滅の原因になる実質の糸針をかけずにすみ,膵液瘻の発生に関して良好な臨床成績が報告されている.超音波凝固切開装置では短時間に切離が完了し,十分な止血効果があるが,膵液瘻発生に関しては今後の検討を待たねばならない.また,自動吻合器は欧米を中心にTA-55(R)やEndo GIA(R)を用いた報告が多い.短時間で切離が可能である.断端の組織挫滅が術後の膵液瘻を惹起しないかが不安であるが,一般に安全性は高いと報告されている.内視鏡下膵臓手術も含め,膵臓の切離法に関しては短期・長期的な安全性,難易度,経済性など多角的な評価が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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