文献詳細
カラーグラフ 世界に向かう甲状腺疾患診療の新技術・1
甲状腺結節の超音波画像によるコンピュータ支援診断
著者: 栗田武彰1 佐々木賀広2 加藤智3 板橋幸弘3 小田桐弘毅4 羽田隆吉5
所属機関: 1くりた乳腺・甲状腺クリニック 2弘前大学医学部第一内科 3木造成人病センター外科 4弘前大学医学部第2外科 5弘前大学医学部付属病院医療情報部
ページ範囲:P.1583 - P.1590
文献概要
呈示した超音波画像をどう読影されますか.所見を述べ,診断をつけてください(図1a,b).
視覚的印象による診断基準の現状
われわれは甲状腺結節の超音波所見の特徴を言葉で表現することが可能であり,診断基準には所見が定性的に示されている(表1).ほとんどの甲状腺結節は甲状腺の内部に存在する構造物として認識される.超音波画像上の結節の特徴は大きく分けて,形状とエコー強度の空間分布に大別される.甲状腺癌と診断されるためには,癌が備えるべき特徴がはっきりした形で医師に共通認識として共有されることが必要である.ところが,診断は同程度の経験を積んだ医師の間でさえ食い違い,いわんや経験年数の異なる医師の間では正反対の結論となることすらある.そこで診断基準なるものが登場し,その認識の差を少しでも埋めようとしている1).しかしその診断基準を使用しても所見の表現,さらに診断が異なることがまれではない.その原因は視覚的特徴の認識は数値として定量しがたい性質のものであることが第一に考えられる.
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