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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻3号

2003年03月発行

文献概要

文学漫歩

―藤原正彦(著)―『若き数学者のアメリカ』―(1981年,新潮社 刊)

著者: 山中英治1

所属機関: 1市立岸和田市民病院外科

ページ範囲:P.382 - P.382

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 新聞記事で,こと政治家と医師に関しては褒める記事はまずありえず,大抵は非難の論調である.しかし日経に連載されている「医療再生」は冷静に医療問題について記載している.「3時間待ちの3分診療」と大病院を非難する前に何故そういうことになるのか,日本の医療制度上の問題点や,風邪でも大病院を受診する患者側の意識についても言及している.日経によると慶應義塾大学病院の外来患者は1日に4,500人もあり,乳腺外来は予約しても5~6時間待ちだそうだ.「過半数は地元の医院でも対応できる患者」(慶應大副院長),「大病院では軽症患者に時間を割かれ,手厚いケアの必要な重症患者に十分時間をかけられない」(都内大学病院元院長)などのコメントもあった.

 当院から神戸に転勤した先生の話では,せっかちな大阪は「診察時間は短くても良いから待たせるな」という人が多かったが,神戸のとくに高級住宅街の御婦人は「長く待っても良いから長時間のていねいな診察を」と希望する患者が多く戸惑ったそうだ.弁護士の相談料は30分5,000円とかだそうだが,医師の診察料は時間は無関係で短時間に多くの人数をこなしたほうが経営上は良い.ならば私のような単純な頭でも思いつくのは,診察に時間を要する患者の診療報酬を加算する時間割増案である.先日これを元厚生労働省の先生に述べたところ,「そんなことをすれば患者の少ないヘボ医者が雑談で延ばして保険請求する」と一笑に付された.「では自費でも良いから長く診て欲しい人からはいただくという案は」と食い下がったが,「それは自由診療となりダメです」とのこと.紹介状なしでも大病院希望の方からいただく「特定療養費」と変わらぬような気もして腑に落ちない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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