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ここまで来た癌免疫療法・11
―臨床の場で今後の進展が期待される免疫療法―新規細胞療法
著者: 角田卓也1 田原秀晃1
所属機関: 1東京大学医科学研究所先端医療研究センター外科・臓器細胞工学分野
ページ範囲:P.539 - P.542
文献購入ページに移動細胞療法(cell therapy)の範疇で抗腫瘍効果を有するリンパ球をex vivoで培養し,移入する養子免疫療法(adoptive immunotherapy:AIT)において,最近,米国の二つのグループから今後の展開を期待させる報告があった.
一つは,Fred Hutchinson Cancer Research Center(Seattle)のPhilip Greenbergらのグループ1)からで,もう一つはNational Cancer Institute(NCI)のSteven Rosenbergらのグループ2)からである.Greenbergらのグループは末梢血単核球をエピトープペプチドで刺激し,細胞傷害性T細胞(CTL)クローンを樹立して移入する方法で,Rosenbergらのグループは抗癌剤で前治療した患者に腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocyte:TIL)を移入する方法である.
注目に値する点は,臨床効果があった事実のみならず,これまでのAITの問題点を克服していることである.すなわち,①CTLであれTILであれ,移入細胞の抗原特異性を維持した大量培養法を確立できた,②移入細胞が癌患者の生体内で生存し増殖することに成功した,③移入細胞を腫瘍局所にtraffickingさせることに成功した,④癌患者内で抗腫瘍効果に対する抑制系を解除できたことであり,AITの新展開を方向づける研究であり,今後注目に値する治療法であるといえる.
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