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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻6号

2003年06月発行

特集 癌肝転移の治療戦略

大腸癌肝転移に対する肝動注治療―治療戦略の中での位置付けと今後の展望

著者: 貞廣荘太郎1 鈴木俊之1 石川健二1 田中洋一1 中村知己1 田島知郎1 幕内博康1 斎藤拓郎2 村山千恵子2

所属機関: 1東海大学医学部外科 2東海大学医学部放射線科

ページ範囲:P.757 - P.761

文献概要

 大腸癌の転移,再発部位として肝臓は最も頻度が高い.肝転移に対する治療の第一選択は手術であるが,肝切除後の無再発生存率は30%以下であり,集学的治療の必要性が示唆される.半減期が短く,肝での抽出率が高い5-FU系抗癌剤の肝動注は肝転移巣に高濃度の薬剤を到達させ,しかも末梢血中の濃度を低く保つことが可能であり,副作用を抑えながら高い抗腫瘍効果を期待できる.しかし切除不能の肝転移に対して全身化学療法に比べて高い奏効率を示すものの,生存期間の延長には至っていない.また肝切除後の補助化学療法としての効果も評価が定まっていない.最近,切除不能例に対して肝動注をneoadjuvantとして用いた後に肝切除する報告が散見される.肝動注は手術に次ぐ強力な局所治療法であり,今後さらに集学的治療の中で検討されていくと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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