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特集 癌肝転移の治療戦略
文献概要
原発性肝癌に対する治療法の1つである肝動脈塞栓療法を転移性肝癌に対して行った.塞栓療法の効果は腫瘍の血流動態に左右されるが,塞栓療法後切除した大腸癌肝転移症例では血管造影で腫瘍の血流が乏しいにもかかわらず,組織学的に広範囲の壊死が認められた.しかし,臨床的に問題となる多発肝転移症例では,繰り返しの治療によっても奏効率,予後とも不良であった.このため,現時点では塞栓療法は血流の豊富な特殊な症例を除き,転移性肝癌の治療としては適当ではない.
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