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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻6号

2003年06月発行

特集 癌肝転移の治療戦略

大腸癌肝転移に対する遺伝子治療の現状と将来

著者: 柳衛宏宣1 江里口正純1

所属機関: 1東京大学先端科学技術研究センター知的財産権大部門

ページ範囲:P.793 - P.798

文献概要

 大腸癌の肝転移に対して新しい治療法として遺伝子治療が注目されている.現在までに4つの遺伝子治療が行われているが,いずれもin vivo法でベクターとしてアデノウイルスあるいはリポソームを用いている.(1)p53遺伝子に変異・欠失のある大腸癌の肝転移に対して,正常p53遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター(SCH58500)を肝動脈内に動注する臨床試験,(2)消化器癌の転移性肝癌に対するE1B55Kを欠いた変異ヒトアデノウイルス(ONYX-015)を用いた肝動注療法遺伝子治療の臨床試験,(3)cytosinedeaminaseを組み込んだ非増殖性アデノウイルスベクター(ADGVCD. 10)を大腸癌患者の肝転移巣に直接注入する臨床試験,(4)allovectin-7(HLA-B7/β2マクログロブリン遺伝子のプラスミドと脂質DOPEとDMRIEを混合したリポソームベクター)を直接エコーガイド下に大腸癌の肝転移巣に注入する臨床試験が進行中である.今後,癌治療において集学的治療法の1つとして遺伝子治療は重要な位置を占めると思われ,安全でかつ使用しやすいベクターの開発が必要となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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