文献詳細
近代腹部外科の開祖:Billroth
文献概要
弟子のMikulicz(1850~1905,図1)は,1881年4月のドイツ外科学会において,予後的にはかならずしも満足できるものではなかったが,Billroth外科教室で行われた初期3例の胃癌切除手術を報告した(Billrothは,幽門切除という手技が胃癌患者の救済に有望な治療法になりうることを確信していたのである).そして,同学会においてポーランドのRydygier(1850~1920,図2)が,Billrothに先立って1880年11月に自分自身が行った胃切除手術について報告している.
これによると,1880年11月16日にBillrothの症例と同じように幽門狭窄症状を呈した胃癌患者に手術を施している.Billrothが採用した横切開と違って,Rydygierは正中切開で開腹し,いわゆる「oralis inferior」すなわち今日いうところの「BillrothⅠ法」で,胃十二指腸吻合(後日,Rydygierは「Billroth法」とよばれるようになったこの「oralis inferior」式再建のpriorityを強く主張したという)を行ったが,患者は虚脱状態から脱することができず術後12時間で死亡した(「Extirpation des carcinomatous Pyrolus. Tod nach zwolf studen.」).
これによると,1880年11月16日にBillrothの症例と同じように幽門狭窄症状を呈した胃癌患者に手術を施している.Billrothが採用した横切開と違って,Rydygierは正中切開で開腹し,いわゆる「oralis inferior」すなわち今日いうところの「BillrothⅠ法」で,胃十二指腸吻合(後日,Rydygierは「Billroth法」とよばれるようになったこの「oralis inferior」式再建のpriorityを強く主張したという)を行ったが,患者は虚脱状態から脱することができず術後12時間で死亡した(「Extirpation des carcinomatous Pyrolus. Tod nach zwolf studen.」).
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