特集 癌化学療法レジメンの選択とその根拠:乳癌・肺癌・甲状腺癌
乳癌術前化学療法の標準的レジメン
著者:
小林直1
宇野真二1
相羽恵介1
平野明夫1
吉田和彦2
内田賢2
戸崎光宏3
兼平千裕4
鈴木正章5
倉石安庸6
所属機関:
1東京慈恵会医科大学附属病院臨床腫瘍部・腫瘍内科
2東京慈恵会医科大学附属病院乳腺・内分泌外科
3東京慈恵会医科大学附属病院放射線診断部
4東京慈恵会医科大学附属病院放射線治療部
5東京慈恵会医科大学附属病院病理部
6東邦大学附属大森病院血液・腫瘍科
ページ範囲:P.893 - P.901
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術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy:NAC)の目的は乳癌の原発巣と潜在的な微小転移巣のコントロールにある.最近,NACは術後補助化学療法に代わりうる治療法であり,乳房温存を希望するがその腫瘍が大きすぎ,温存術の適応外である症例はNACの最もよい適応であるとの見解も聞かれる.またタキサン,ハーセプチン(TM)などの新規薬剤の導入により治療成績は向上しつつある.さらにはNACではもっとも迅速に新しい薬剤やレジメンの評価が可能であることから,NACで得られた知見に基づいて再発乳癌や術後補助療法が施行されるようになる可能性がある.本稿ではNACの現状と問題点,標準的レジメンを中心に述べ,術前内分泌療法についても言及した.