icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻7号

2003年07月発行

文献概要

特集 癌化学療法レジメンの選択とその根拠:乳癌・肺癌・甲状腺癌

再発乳癌に対する標準的化学療法レジメン

著者: 佐伯俊昭1 高嶋成光1

所属機関: 1国立病院四国がんセンター臨床研究部

ページ範囲:P.917 - P.922

文献購入ページに移動
遠隔転移を伴う進行乳癌および再発乳癌を転移性乳癌として,国際的な臨床試験のエビデンスを示しながら当院の治療法を紹介する.転移性乳癌では患者への予後説明が非常に重要であり,転移性乳癌患者には治癒が望めないことを何らかの形で伝えなければならない.しかし,治療をすれば症状も緩和され,延命可能であることを理解してもらう必要もある.

 QOLの観点から,再発乳癌化学療法は外来治療として行う.最適な化学療法のレジメンの選択は補助療法も含めて決定される.1次化学療法レジメンとしては,アントラサイクリンを含む多剤併用療法が勧められ,補助化学療法でアントラサイクリンが使用され,1年以内の再発,あるいはアントラサイクリンが禁忌である症例では積極的にタキサンを使用する.CMFは転移性乳癌を対象として検討された歴史的経緯があるが,現在では補助化学療法として汎用されている.新規薬物療法剤であり,分子標的薬剤としてtrastuzumab(ハーセプチン(R))がある.奏効率および無増悪期間は,化学療法単独群より化学療法剤+ハーセプチン(R)併用群が優れ,さらに生存期間も併用群が化学療法単独より優れていた.現在,転移性乳癌のHER2陽性症例ではハーセプチン(R)は鍵となる1次選択薬剤と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?