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文献詳細

雑誌文献

臨床外科58巻8号

2003年08月発行

近代腹部外科の開祖:Billroth

ビルロート余滴・8―胃癌研究のその後の展開:Mikuliczの貢献

著者: 佐藤裕12

所属機関: 1北九州市立若松病院外科 2日本医史学会

ページ範囲:P.1100 - P.1103

文献概要

 Billrothの門下から多くの俊英が輩出し,それぞれが外科学の進展に大きく貢献したことは以前(第2回目)にも述べたが,胃癌の外科治療の領域においてBillrothを継いで多大な貢献をなしたのはMikulicz(Johannes von Mikulicz-Radecki, 1850~1905)である.Mikuliczは胃・食道鏡(図1)の創始者として知られるが,今日ミクリッツの名は,病名として「ミクリッツ病(Mikulicz's disease)」,外科手術に関連しては「ミクリッツ腹膜鉗子(peritoneal clamp)」,「ハイネッケ-ミクリッツ(Heineke-Mikulicz)式幽門形成術」や「ミクリッツ-タンポン(Mikulicz's tamponade)」などに冠名(eponym)として残っている.

 Billrothのもとで研修を積んだ後,KrakauからKönigsbergを経て,1890年にポーランドのBreslau大学の外科教授に迎えられたのであるが,この大学在任中の1898年に「Arch. klin Chir. 51, 525, 1898)」誌に「Beiträge zur Technik der Operation des Magencarcinoms:胃癌手術について」という論文(図2)を寄せて,Billroth以来の胃癌研究を集大成している.この論文は第27回ドイツ外科学会でMikuliczが行った口演をまとめたもので,Billrothが胃癌切除術(幽門切除:pylorectomy)を臨床応用すべく弟子のGussenbauer&Winiwarterに命じて行わせた動物実験と剖検に基づく研究結果(Die partielle Magenresection:Arch. klin Chir. Bd. 19, Seite 347)を引き合いに出しながらそれまでの研究の成果を論じている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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