icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 小外科・外来処置マニュアル Ⅱ.頭部・顔面・口腔・咽頭

10.にきび(尋常性ざ瘡),粉瘤(表皮囊腫)

著者: 黒川一郎1 西嶋攝子2

所属機関: 1兵庫県立塚口病院皮膚科 2関西医科大学附属香里病院皮膚科

ページ範囲:P.41 - P.43

文献購入ページに移動
にきび(尋常性ざ瘡)

 尋常性ざ瘡は多くの人が罹患する,思春期に始まる慢性の毛包の炎症性疾患である.臨床的にざ瘡は面皰という毛包に角質や皮脂が詰まった皮疹から始まる.面皰には(1)毛孔(毛穴)が開いている開放(黒色)面皰(黒にきび)と(2)毛孔が閉鎖している閉鎖(白色)面皰(白にきび)の2種類があり,これらの面皰に炎症が加わると炎症性皮疹である赤色丘疹や膿疱へと移行する(図1).

 閉鎖面皰から皮脂や角質の貯留が起き,毛包壁の拡大が生じると囊腫へ移行する.また,囊腫壁が破裂すると皮下膿瘍や硬結となる.その後,線維化が起きると肥厚性瘢痕やケロイドを生じる1)

 思春期には皮脂腺で男性ホルモンの感受性の亢進が起こり,皮脂分泌亢進を認める.ところが,毛包漏斗部の角化異常によって皮脂が毛包漏斗部で貯留し,皮膚の常在菌であるざ瘡桿菌(Propionibacterium acnes)などの細菌の増殖が起こり,リパーゼやヒアルロニダーゼなどの菌体外酵素が産生され,好中球走化性因子や活性酸素産生などによって,炎症が惹起されると考えられている2).毛包壁が破壊され,角質や毛などが真皮に流出すると慢性期には異物肉芽腫を形成する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?