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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 小外科・外来処置マニュアル Ⅱ.頭部・顔面・口腔・咽頭

35.顎関節脱臼

著者: 野添悦郎1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座腔顎顔面外科学

ページ範囲:P.112 - P.114

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はじめに―疾患の特徴

 顎関節脱臼とは,顎関節突起が通常の可動範囲を逸脱して偏位したものであり,一般に,顎関節突起が関節結節の前方に逸脱する前方脱臼がほとんどである.多くの場合,大開口で生じ,あくび,嘔吐,哄笑のほか消化器内視鏡検査,歯科治療など医療行為の際にも発生する.

 頻回に脱臼を繰り返すものは習慣性脱臼と呼ばれ,次第に通常の開口運動でも生じるようになり,高齢者に多い.習慣性の場合,自己整復できる,もしくは比較的容易に整復できることが多いが,近年,老人性痴呆症患者に生じた習慣性脱臼患者が増えており,その治療に苦慮する.また,脱臼時に脱臼したとの自覚がない,もしくは整復できず3~4週間以上放置された症例は陳旧性脱臼と言われ,通常の整復は難しく,観血的整復術を要する場合が多い.

 そのほか,側方(内側,外側)および後方脱臼は顎関節部の骨折の際にみられ,側方脱臼では,顎関節突起部の骨折で外側翼突筋によって内前方へ牽引される.後方脱臼は関節窩後方の外耳道や乳様突起などに陥入・骨折・脱臼したもので,稀である.本稿では,前方脱臼を中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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