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特集 小外科・外来処置マニュアル Ⅴ.腹部・腰部
56.腹壁外傷
著者: 岩崎善毅1 荒井邦佳1 片柳創1 高橋慶一1 山口達郎1 松本寛1 宮本英典1
所属機関: 1東京都立駒入病院外科
ページ範囲:P.184 - P.186
文献購入ページに移動種々の鋭的および鈍的外力によって発生し,腹壁の構成臓器の単純な外傷と腹腔内臓器の損傷を伴う疾患である.その成因および受傷の機転によって以下に分類される1).
1.直達外力よる損傷
1)穿通性損傷
刺創,銃創など
2)鈍的損傷
挫創,圧挫創など
2.介達外力による損傷
1)皮下出血,皮下血腫,腹筋断裂・血腫,腹直筋血腫など
2)外傷性腹壁ヘルニア
また,外傷の形態から,開放性損傷と非開放性損傷とに分けられる.鋭的外傷はすべて開放性損傷となるが,鈍的外傷では,皮膚の挫創のような開放性損傷を伴う場合と,腹部打撲のように非開放性損傷となるものがある.腹部の非開放性損傷の半分以上が来院時に出血性ショックを伴うとされる2).
いずれの損傷においても腹壁外傷を診療するうえで最も重要な点は腹腔内臓器損傷を伴っているか否かの判断である.
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