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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 小外科・外来処置マニュアル Ⅵ.直腸・肛門

73.尖圭コンジローム

著者: 黒水丈次1

所属機関: 1名戸ヶ谷病院消化器病センター

ページ範囲:P.232 - P.233

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疾患の概念

 尖圭コンジロームはウイルス性性感染症の一種で,ヒトパピローマウイルス6型および11型が原因となる.患者の大部分は性活動の盛んな年齢層であるが,稀に成人を介して幼児に発症することもある.わが国では年間10万人あたり約30件の発症がみられるが,1999年以降はほかの性感染症と同様に増加傾向にあり,女性の占める割合が高くなってきている1).性交またはその類似行為によって感染し,世界中に分布している.

 小さいうちは一般に自覚症状に乏しく,疣状隆起物を触知することで偶然発見されたり,増大すると違和感,帯下の増加,掻痒感,痛み,二次感染による悪臭,が初発症状となる.疣状隆起物は表面が乳頭状,顆粒状で淡紅色~褐色を呈し,鶏冠状あるいはカリフラワー状に集簇的に増殖する.好発部位は,男性では陰茎の亀頭部,冠状溝(図1),包皮,陰囊で,女性では腟前庭,大・小陰唇,会陰部,また,男女の肛門および周辺部(図2),尿道口である.肛門管内にも病変が及ぶが歯状線をこえて直腸粘膜を侵すことは稀であると言われるが2),筆者は同性愛者で直腸粘膜まで病巣が進展した症例を経験している.ほかの性病の合併例も少なくないことに注意すべきである.一般的には角化傾向は少なく,弾力性・軟であるが,角化傾向が強く巨大化するものもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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