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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 小外科・外来処置マニュアル Ⅸ.乳幼児の外来外科疾患

125.乳児の肛門周囲膿瘍・痔瘻,裂肛

著者: 韮澤融司1

所属機関: 1杏林大学医学部小児外科

ページ範囲:P.370 - P.371

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肛門周囲膿瘍・痔瘻の疾患概念

 肛門部の急性化膿性炎症により膿瘍が貯留した状態が肛門周囲膿瘍,自潰排膿し,瘻孔が形成されたものが痔瘻である.肛門周囲膿瘍の約20~50%が痔瘻になるとされる1,2).外来を受診する乳児の肛門疾患として最も頻度が高い.そのほとんどが男児で生後6か月までの発症が多い.膿瘍の貯留や瘻孔の開口部は肛門の側方に多く,数個が同時に発生することもある.膿瘍の貯留部位を圧迫すると肛門内の肛門小窩(anal crypt)から排膿されることから肛門小窩に形成された膿瘍から発生すると考えられている3).原発口と思われる肛門小窩は周囲のものより深いことが多いので先天的な要因が原因とする報告がある2).またほとんどが男児であるためホルモン関与を指摘する論文もある4).女児での発生は男児に比べると極端に少ないが,男児が側方に多く発生するのに比べ12時方向,特に腟前庭部や陰唇に開口し,先天性のperineal canalとの鑑別が困難である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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