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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻2号

2004年02月発行

文献概要

特集 GIST(gastrointestinal stromal tumor)診療の最前線

家族性gastrointestinal stromal tumor(GIST)

著者: 西田俊朗1 遠藤俊治1 松田暉1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科未来医療開発専攻臓器制御外科学(第1外科)E1

ページ範囲:P.137 - P.144

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 要旨:家族性腫瘍は稀ではあるが医学研究上も腫瘍学上も重要な概念である.ほとんどの家族性腫瘍は優性遺伝を示すが,特定の遺伝子の機能喪失型(loss-of-function mutations)生殖細胞突然変異(germline mutation)で生じることが多い.原因遺伝子が明らかな家族性腫瘍症候群の内,3症候群,すなわち,多発性内分泌腫瘍症候群タイプ2(原因遺伝子:RET遺伝子),家族性腎乳頭癌(MET)と家族性gastrointestinal stromal tumor(GIST)が機能獲得型突然変異(gain-of-function mu-tations)で生じる.KIT遺伝子がコードするKITタンパク質は血液幹細胞,メラノブラスト,肥満細胞,杯芽細胞,および消化管カハール細胞(ICC)に発現しており,家族性GISTでは胃,小腸に多発するGIST以外に,ICCの過形成,皮膚の色素沈着を認める.家族性GISTの研究からKIT遺伝子の機能獲得型突然変異はGIST発生の原因であり,GISTの進展と悪性化には他の幾つかの遺伝子が関連していること,ならびにGISTはICCないしICCに分化する運命にある細胞が腫瘍化したものであることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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