特集 GIST(gastrointestinal stromal tumor)診療の最前線
GIST(gastrointestinal stromal tumor)に対する腹腔鏡下手術―適応と方法
著者:
大谷吉秀1
古川俊治1
吉田昌1
才川義朗1
久保田哲朗1
熊井浩一郎2
亀山香織3
向井萬起男3
杉野吉則4
北島政樹1
所属機関:
1慶應義塾大学医学部外科
2慶應義塾大学医学部内視鏡センター
3慶應義塾大学医学部病理
4慶應義塾大学医学部放射線科
ページ範囲:P.157 - P.162
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要旨:GIST(gastrointestinal stromal tumor)に対する腹腔鏡下手術の適応と方法を述べる.GISTの約70%は胃に発生し,癌にみられるようなリンパ節転移は稀で,転移再発様式は肝転移もしくは腹膜播種の頻度が高い.また,術前組織学的診断率は低い.そのような背景から腹腔鏡下胃局所切除術は粘膜下腫瘍のうち,胃原発の充実性腫瘍,腫瘍径5cm以下,噴門や幽門から離れている症例に良い適応となる.この条件から外れる腫瘍に対しては腹腔鏡補助下手術もしくは開腹手術が行われる.手術の基本は,①正常部分を含めた部分切除,②腹膜播種再発予防のため,腫瘍の被膜を術中に損傷しない,などである.症例の選択を慎重に行えば本手術は診断と治療が同時に行え,QOLも考慮した優れた方法となる.