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特集 肝細胞癌治療の最前線
肝癌治療の現状と今後の展開
著者: 國土典宏1 幕内雅敏1
所属機関: 1東京大学医学部肝胆膵外科・人工臓器移植外科
ページ範囲:P.261 - P.265
文献購入ページに移動 要旨:肝癌の治療は確立された手術療法に加えて非手術的治療法の進歩もめざましく,選択肢が広がり患者にとって大きな恩恵をもたらしている.年代別にみると,70年代には肝切除以外に選択肢はほとんどなかったが,80年代に入り肝動脈塞栓術が,80年代末にエタノール注入療法が開発され,主に切除不能症例や再発例に対する治療法として発達した.局所療法はその後,ラジオ波焼灼術という新しいmodalityに中心を移した.90年代後半からは肝癌に対する肝移植の有用性が再認識され,わが国では生体肝移植が症例を慎重に選択しながら行われている.再発の多いこの悪性腫瘍に対する最善の治療法をどのように選択して患者に提供するかについて,判断材料となるべきエビデンスの集積と指針(ガイドライン)の整備が急がれる.
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