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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻3号

2004年03月発行

文献概要

特集 肝細胞癌治療の最前線

肝癌に対するcryoablation(凍結融解壊死治療)

著者: 若林剛1 田邊稔1 上田政和1 島津元秀1 河地茂行1 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科

ページ範囲:P.279 - P.287

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 要旨:筆者らは低侵襲かつ局所根治的な肝癌の治療を目指して,肝癌の存在様式と肝予備能・全身状態(治療歴,年齢など)に応じて個別化した低侵襲肝癌手術という概念を提唱し体系化を試みている.低侵襲肝癌手術の内訳は内視鏡下肝切除,内視鏡下ablation,経皮的ablation,小開腹下肝切除/ablationであり,個々の肝癌患者ごとに個別化した低侵襲手術を行っている.

 当教室では熱凝固治療の欠点を補う治療として,近年開発された米国Endocare社のアルゴンガス凍結治療装置を2002年1月に導入し,2003年8月末までに肝細胞癌82例,転移性肝癌18例の全100例に使用した.このうち59%の症例がいわゆるablationの適応といわれる「腫瘍径3cm,腫瘍個数3個以内」の基準をこえていた.この装置では,冷却開始前に8本まで冷却針を病巣部に挿入し同時または個別に冷却が可能なため,解剖学的に複雑な治療域を確保しやすく,大型腫瘍も凍結可能である.個別化・低侵襲肝癌手術は肝癌の低侵襲かつ局所根治的治療として有効であり,アルゴンガス凍結治療は重要な位置を占めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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