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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻3号

2004年03月発行

特集 肝細胞癌治療の最前線

肝細胞癌に対する生体肝移植治療:適応拡大に向けた新たな戦略

著者: 佐藤好信1 山本智1 中塚英樹1 大矢洋1 原義明1 小林隆1 竹石利之1 畠山勝義1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器一般外科学分野

ページ範囲:P.309 - P.316

文献概要

 要旨:肝細胞癌に対する生体肝移植医療の問題点と筆者らの独自の試みを述べた.適応基準としてミラノ基準が世界的な基準となっているが,生体肝移植においてはより優れた適応基準,そして適応拡大をもたらす戦略的治療の必要性が求められている.

 筆者らは新たな適応基準として,移植後流血中肝癌細胞の転移着床の観点から血中h-TERT mRNAに注目した.また適応拡大の工夫として,ミラノ基準逸脱例に移植前5-FU+IFNβによる免疫化学療法,そして術後転移着床予防としてアドリアマイシンの全身投与と5-FUの門脈内投与(Sandwich chemotherapy)を試みた.さらに免疫抑製剤の早期減量のためドナー血門脈内投与を行った.移植直前h-TERT mRNA陽性症例は全例早期再発をきたした.また移植前陽性症例であっても,免疫化学療法で陰性化した症例は再発を認めなかった.ドナー血門脈内投与は免疫抑制剤の早期減量,ステロイド早期離脱を可能にした.今後より良い適応基準と治療法の開発により,ミラノ基準をこえた適応拡大が可能となってくるものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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