文献詳細
文献概要
近代腹部外科の開祖:Billroth
ビルロート余滴・15―ビルロートと乳腺,泌尿器外科
著者: 佐藤裕1
所属機関: 1近畿大学医学部消化器内科
ページ範囲:P.332 - P.334
文献購入ページに移動 Billrothが多分野において数々の先駆的業績をあげてきた具体例として,前回は「ビルロート余滴・14」として甲状腺外科について述べたが,今回は乳腺と泌尿器領域の癌とのかかわり合いについて述べる.
Halstedがいわゆる「standard radical mastectomy」という術式を提唱したときから10数年遡った1879年に,Billrothの弟子の一人のAlexander Winiwarter(1848~1917年,図1)が,Billroth clinicにおける乳癌の外科治療成績について論文を発表している.これによると,143例の乳癌手術症例中34例(23.7%)が感染症で死亡し(経過観察期間は明記されていないが),55例(38.5%)が再発死したとしている.この頃Billrothが採用していた術式は,現在の術式でいうと「乳房全切除(total mastectomy)」に相当するものであるが,これはいわゆる「所属リンパ節を含んだ系統的な一括切除(en blocresection)」ではなかった.ただし,胸筋に癌が及んでいる場合には胸筋切除を,腋窩リンパ節の腫大が認められるときには同部の郭清を付加していたようである.
Halstedがいわゆる「standard radical mastectomy」という術式を提唱したときから10数年遡った1879年に,Billrothの弟子の一人のAlexander Winiwarter(1848~1917年,図1)が,Billroth clinicにおける乳癌の外科治療成績について論文を発表している.これによると,143例の乳癌手術症例中34例(23.7%)が感染症で死亡し(経過観察期間は明記されていないが),55例(38.5%)が再発死したとしている.この頃Billrothが採用していた術式は,現在の術式でいうと「乳房全切除(total mastectomy)」に相当するものであるが,これはいわゆる「所属リンパ節を含んだ系統的な一括切除(en blocresection)」ではなかった.ただし,胸筋に癌が及んでいる場合には胸筋切除を,腋窩リンパ節の腫大が認められるときには同部の郭清を付加していたようである.
掲載誌情報