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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻4号

2004年04月発行

特集 甲状腺癌治療の最適化を目指して

甲状腺癌に対する内視鏡下手術の適応と限界

著者: 清水一雄1 北川亘1 赤須東樹1

所属機関: 1日本医科大学大学院医学研究科機能制御再生外科学(第2外科・内分泌外科)

ページ範囲:P.443 - P.448

文献概要

要旨:甲状腺悪性腫瘍の中で内視鏡外科的治療の対象となる疾患は甲状腺乳頭癌,濾胞癌,髄様癌である.乳頭癌は最も頻度が高く予後が良い.直径1cm以下の微小乳頭癌は更に予後良好で内視鏡下手術の適応である.術前検査でリンパ節転移を示唆する症例は郭清範囲に限界のあることから内視鏡下手術の適応外である.濾胞癌で適応となるのは微小浸潤型であり腺葉全摘を行う.一方広範浸潤型濾胞癌は全摘術が必要であること,周囲への浸潤傾向が強いことから根治的治療に限界があり内視鏡手術の適応外である.家族性髄様癌で遺伝子診断陽性症例に対する予防的甲状腺全摘,経過観察中にカルシトニン,CEAの腫瘍マーカーが陽転した初期の症例に対する甲状腺全摘は内視鏡下手術の良い適応である.女性に多く,露出された前頸部に切開創の入る甲状腺手術において本術式は特に整容上きわめて有用性がある.しかし,整容上の利点を追及するあまり根治性を軽視することがあってはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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