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文献詳細

雑誌文献

臨床外科59巻5号

2004年05月発行

特集 Sentinel node navigation surgery―新たなる展開

肺癌のSNNS:臨床応用への展開

著者: 南谷佳弘1 小川純一1

所属機関: 1秋田大学医学部第2外科

ページ範囲:P.575 - P.578

文献概要

 要旨:肺癌ではリンパ節郭清自体の直接的な合併症が明らかにされていないことから,センチネルリンパ節(SN)概念導入の意義は,通常のリンパ節郭清よりも技術的に難しい肺の区域切除やVATS肺葉切除におけるリンパ節郭清の省略ができるかどうかということと思われる.

 肺癌領域におけるSNの研究は始まったばかりで,英文誌に掲載された論文は現時点で8施設からのみである.SN検出法は色素法,RI法,磁性体法,蛍光ビーズ法が報告されている.色素法は検出率が低く実用化は難しい.アイソトープ法は検出感度は高いが,放射線取り扱いなどの規制のため本邦で一般化するには問題点が多い.磁性体法は検出感度はRI法と比較して遜色ないが,術中使用の段階には至っていない.蛍光ビーズ法は有望な方法であるが,臨床応用されるには至っていない.

 現在まで報告された論文はいずれも肺癌におけるSNの概念導入に肯定的であるが,一般化するにはエビデンスが十分ではなく,有用性と実用性を含めたさらなる研究が必要であろう.またSN概念に基づいたリンパ節郭清省略には正確な転移診断が重要であるが,手術時間内に正確に微小転移を検出する方法が確立しておらず,この点に関しても今後の検討が必要と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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