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移植・成形・1
血管縫合に就て
著者: 木本誠二1
所属機関: 1東京大學福田外科
ページ範囲:P.20 - P.25
文献購入ページに移動 血管の外科は非常に古い問題であるが,又同時に最も新しい問題の一つである.他の一般の外科学と同樣,19世紀末から1910年前後にかけて血管外科に就ても多数の業績が発表され一應の結論に導かれたかの観があつたが,実地上は余り広く行われないまゝに,研究も長い間殆ど中絶されていた.所がごく最近,米國に於て心臟大血管の外科的治療や門脈系の手術が盛に実施されるに至つた関係上その必要に迫られたことゝ,又一つには化学療法の発達によつて往時の成績に再檢討が加えらるべき時期に達したこと,などによつて,又改めて根本問題に遡つて研究が開始されつゝある状況である.私達も現在の困難な情勢下に教室の諸君と共に広い範囲に亘つて血管外科に就ての研究に着手している所であるが,設備の不足や飼料の不足のため仲々思う幾分の一も進捗しない.しかし緩漫ではあるが一定の成績を得つゝあるので,何れ詳細を報告する機会はあると思う.今回編集者から血管移植に就ての総括的記述を要請されたのであるが,当然その重要な前提となるべき血管縫合がまだ一般には充分認識されていないようであるし,今後吾國にも広く普及されると思われる血管外科臨床の上にも必要と考えられるので,一應先人の貴重な努力の跡を回顧しつゝ吾々の経驗を加味して総括的に血管縫合の問題を取上げ,次号の血管移植の前書きとし度いと思う.
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