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文献詳細

雑誌文献

臨床外科6巻10号

1951年10月発行

文献概要

今月の小外科・18

放線菌病の治療

著者: 石井良治1

所属機関: 1慶大醫學部外科教室

ページ範囲:P.490 - P.491

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 本症は放線状菌によつて,一種の肉芽腫瘍を形威する傳染性疾患で,口腔より菌の侵入した場合には顔面特に下顎又は頸部に発生し,その急性症が最も良く治療に反應すると云われている.食餌と共に菌が侵入する爲に腸管特に廻盲部が顔面に次いで多く,之より腹膜腔,腹壁等に拡がり又稀には肺又は皮膚の創傷より発病する事もある.其の他血行性に各種内臓或いは骨等を侵す場合もあり,之等胸腹部の内臓或いは骨に発生した場合の治療は仲々困難である.いずれにしても早期に診断し,早期に加療することが必要であるが本症の早期診断は仲々困難な場合が多い.勿論培養により放線状菌を認め或いは罹患組織又は膿汁中に於て菌が集合し肉眼でも認め得るDruseを証明すれば明らかであるが膿瘍を形成した陳旧巣は仲々治療に反應しない様である.從つて潜行性に発生し慢性の經過をとり腫瘍状をなす炎症性硬結を認め局所の疼痛熱感等の自覚症状を認めない時期に治療を開始する必要がある.
 Jodkalium, Jodnatrium等の沃度剤は古くより用いられて来た.即ち1日量2〜3grより患者の堪え得るかぎり増量して6〜10grの大量を内服せしめる.又表在性の疾患では1%のJodkalium溶液の濕布を行つたり,或いは皮下注射を行う事があるが期待する程の効果は仲々望めない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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