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文献詳細

雑誌文献

臨床外科6巻9号

1951年09月発行

文献概要

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十二指腸潰瘍に於ける胃液の酸度に就て

著者: 山近勝美1

所属機関: 1東京遞信病院外科

ページ範囲:P.409 - P.412

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I.緒言
 十二指腸液の胃内逆流に関してはBoldyreffが胃液高酸度の時に生理的中和作用として幽門反射に依る逆流が生ずると報じて以来,一般的には十二指腸液胃内逆流に依つて胃液酸度の低下が起るとして怪まない.逆流十二指腸液に依る胃液酸度の一時的低下は化学的に当然の如く思考せらるるも,然し実際には十二指腸液は中性に近い弱いアルカリ性液であつて酸度中和能は左程著明なものではなく,酸度が低下するとせば量的に稀釈の意味に於てであるが,後述の実驗的推定に依れば通常みる逆流時に於ける中和及び稀釈の影響は論ずるに足らぬ程度のものである.即ち逆流十二指腸液の胃液酸度に及ぼす影響を詳細に観察するに,必ずしも酸度低下を招来するものではなく胃粘膜の健常と思われる症例に於てはむしろ酸度上昇的に作用する多数例を見る.即ち2次的反應に依る高酸度胃液の分泌の結果として寧ろ酸度は上昇する傾向があると考えるものである.
 元来潰瘍疾患は一般に高酸度の傾向を有するものである.併し詳細に檢すると十二指腸潰瘍の場合と胃潰瘍の場合とに於て分泌量,酸度共にかなりの相違がある.例えば十二指腸潰瘍に於ては過酸,過分泌の傾向が著明であるが胃潰瘍に於ては必ずしも然らずして比較的低酸度のものも多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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