icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻1号

2005年01月発行

文献概要

臨床研究

50歳未満の若年者における重複癌の検討

著者: 田中恒夫1 真次康弘1 石本達郎1 中原英樹1 香川直樹1 福田康彦1

所属機関: 1県立広島病院一般外科

ページ範囲:P.97 - P.100

文献購入ページに移動
はじめに

 近年,平均寿命が延びていることや診断技術や治療法が進歩してきたことから,重複癌の症例を経験することが多くなってきた.当然のことながら,重複癌は高齢になるほど高頻度となることが知られている.

 一方で,検診の普及やハイリスクグループの選定,診断法の進歩などによって,若年者で発見される悪性腫瘍が増加している.若年者の定義は定まったものはないが,悪性腫瘍の検討では一般に40歳未満とするものが多い.しかし,これまでに40歳未満の若年者の重複癌の報告は症例報告しかなく,若年者の重複癌を集計して検討した報告はみられない.重複癌では2回以上の発癌となるので,今回の検討では50歳未満を若年者として扱った.

 若年者で悪性腫瘍を発症した場合,他臓器癌を合併することが高いものと予想され,その臨床像を明らかにすることには日常診療上も意義深いことであると考え,以下の検討を行った.

参考文献

1)Warren S, Gates O:Multiple primary malignant tumors. A survey of the literature and a statistical study. Am J Cancer 16:1358-1414, 1932
2)米倉竹夫,中尾量保,藤田修弘,他:若年者大腸多発癌と胃癌の重複癌の1例.日消外誌24:2814-2818,1991
3)日馬幹弘,海瀬博史,若菜洋一,他:若年者に発生した悪性黒色腫,乳癌同時性重複癌の1例.日臨外誌58:214-218,1997
4)宇都宮譲二,権藤延久,吉川麗月,他:家族性腫瘍の概念と意義.外科58:127-138,1996
5)土屋敦雄,野水整,菅野正彦,他:本邦における遺伝性乳癌の統計.外科58:146-151,1996
6)野水 整,土屋敦雄,大木進司,他:遺伝性非ポリポーシス大腸癌家系にみられる子宮体癌の特徴.外科58:186-189,1996
7)Horii A, Han HJ, Shimada M, et al:Frequent replication errors at microsatellite loci in tumors of patients with multiple primary cancers. Cancer Res 54:3373-3375, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?