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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻11号

2005年10月発行

特集 癌治療のプロトコール2005-2006

Ⅴ.胆管癌治療のプロトコール

栃木県立がんセンター外科・他

著者: 富川盛啓1 菱沼正一1 尾澤巖1 尾形佳郎1 長瀬通隆2 山本孝信3

所属機関: 1栃木県立がんセンター外科 2栃木県立がんセンター化学療法科 3栃木県立がんセンター画像診断部

ページ範囲:P.173 - P.180

文献概要

はじめに

 胆管癌は進展度診断が困難であるばかりではなく,周囲の組織や臓器へ容易に浸潤するなど切除不能症例も多く,治療戦略を立てるのに難渋する癌の1つである.現時点では,胆管癌に対して有効とされる化学療法はなく,放射線治療でも腫瘍を根治に至らしめることは不可能である.胆管癌治療の中心は治癒切除を目指して「切除できるものは切除する」という手術療法である.ただし,切除に際しては肝切除や膵頭十二指腸切除など大きな侵襲を伴う術式が多いため,全身状態の把握を含め,可能な限り正確に診断を行ったうえで慎重に治療方針を検討する必要がある.

 当センターでは,それぞれの症例の治療方針については,外科医のみの判断ではなく,外科,画像診断部(消化器内科),化学療法科(腫瘍内科),放射線治療部,病理医,放射線技師,検査技師などが参加して開かれる週1回のカンファレンスで詳細に検討している(図1).そうすることで,診断はもとより集学的治療を含めた治療方針に関してさまざまな専門分野の立場から意見を述べて議論を行うことができ,より適切な治療が行えるものと考えている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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