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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻13号

2005年12月発行

文献概要

臨床経験

新しい完全皮下埋め込み式カテーテル留置法―上腕ポートの管理成績

著者: 井上善文12 廣田昌紀1 阪尾淳1 野村昌哉1 藤田繁雄1

所属機関: 1日生病院外科 2現 医療法人川崎病院外科

ページ範囲:P.1641 - P.1646

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はじめに

 在宅静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)1)や化学療法施行症例2)に対する完全皮下埋め込み式カテーテル(totally implantable subcutaneous infusion port:ポート)の有用性が認識され,使用症例も増加している3).HPN症例においては,輸液を投与しない期間にはカテーテル管理から開放され,自由に活動できるようになるというQOLの維持・向上4),化学療法施行症例においては,輸液・薬剤投与経路としての信頼性および繰り返す穿刺に伴う苦痛からの解放という意味合いが大きい.

 ポートの留置経路としては,鎖骨下穿刺などによりカテーテルを挿入してリザーバーは前胸部に埋め込むという方法が一般的に行われているが,われわれは,上腕の静脈切開によりカテーテルを挿入し,リザーバーを上腕外側に埋め込むという方法(上腕ポート)を新たに考案して実施している.今回,過去3年間における上腕ポートの管理成績についてまとめ,有用性を示唆する成績が得られたので報告する.

参考文献

1)井上善文,井上真紀,木村聡宏,他:HPNの栄養治療効果及びQOL改善効果を再確認した短腸症候群の1例.癌と化療28(supplⅠ):52-55,2001
2)荒井保明,木戸長一郎,有吉 寛:埋め込み型システムを用いた治療経験に基づく外来癌化学療法についての検討.癌と化療18:2504-2503,1991
3)井上善文:在宅中心静脈栄養法の現況と問題点.外科治療78:109-110,1998
4)井上善文,吉川正人,水島恒和,他:クローン病症例に対する完全皮下埋め込み式カテーテルを用いたHPNの施行経験.静脈経腸栄養17:57-61,2002
5)井上善文,藤田繁雄:HPN実施のコツ 輸液方法,カテーテル.輸液栄ジャーナル21:547-552,1999
6)秦 康博,森田吉多佳,森田荘二郎,他:当院における中心静脈カテーテル留置術の検討―特にP. A. S. portを用いた前腕部留置.高知医師会医誌1:74-77,1996
7)川崎竜太,森田荘二郎,久 修明,他:前腕部留置の埋没式中心静脈カテーテル法(IVHリザーバー)389例の検討.癌と化療26:2055-2060,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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