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文献詳細

雑誌文献

臨床外科60巻2号

2005年02月発行

文献概要

外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 13

大腸手術の腸管処置は必要か

著者: 池尻公二1

所属機関: 1独立行政法人 国立病院機構九州医療センター外科

ページ範囲:P.214 - P.216

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近年,SSI(surgical site infection)に注目が集まり,その原因検索および予防法について様々な議論がなされている.抗菌薬を使用しない場合の腸管手術でのSSI発生率は50%に上るとの報告もある.

 腸管手術において術前処置が必要かどうかということは,その求めるところはつまりSSIの発生をいかに押さえるかということに集約される.諸家によると,大腸手術後のSSIの発生頻度は腸管処置を行うことによって10%内外に減少すると報告されている.しかし,SSIの予防に最も寄与するものは,はたして抗生物質を含めた腸管処置なのであろうか.もちろん,それが重要な役割を果たしていることに異論はないが,それ以外にSSIを予防する方法はないのだろうか.SSIを起こさないがために色々な薬物を使用して正常な体内環境を乱して無理やり蓋をしてしまうというやり方は,考えようによってはずいぶん乱暴な話であり,むしろやり過ぎによる弊害が生じる可能性が高いのではないだろうか.

参考文献

1)Geldere DV, Fa-Si-Oen P, Noach LA, et al:Complications after Colorectal Surgery Without Mechanical Bowel Preparation. J Am Coll Surg 194:40-47, 2002
2)竹末芳生,大毛宏喜,香山茂平,他:大腸手術における術前腸管処置.外科64:1622-1627,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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